プロテニスプレイヤー伊藤あおい選手の紹介 ― 2025年03月19日 19時45分
伊藤あおい選手を知ったのは、つい最近
YouTubeの紹介動画だったと思います
伊藤さんは二十歳 とても見慣れないテニスをします
テニスの動画は観ることなかったのですが
あおい沼にはまってどんどん観ています
楽しい動画 ぜひぜひ観て下さい↓↓↓
マンガ家のKASAさんが伊藤選手と対談した内容を載せて下さっていますのでご紹介します(2025.3.16記事)↓↓↓締めくくりの一文が笑えます(^o^)丿
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私は「KASA(カサ)」というペンネームで活動している漫画家です。テニス漫画『BREAK BACK』(ブレークバック)という作品を月刊誌で連載しています。
そんな私が、今話題の伊藤あおい選手(世界ランキング112位)を知り、興味を持ったのは2年前。「変わった選手」がいるという噂をテニス関係者から聞いたからです。
そこで記憶に強く残ったワードが「ノーウォーミングアップ」と「ノートレーニング」でした。「え?そんな選手いるの?」と驚き、しかもそれでテニスが強いと聞いて、その日を境に伊藤あおいウォッチャーになりました(笑)。
そして、漫画家としての権力(?)を使い、マルチタスクで苦しむ担当編集者に、伊藤選手との対談企画を打診。それが通り、『月刊少年チャンピオン』での対談が実現しました。
対談は2時間半に及び、伊藤選手からたくさんのお話を聞くことができました。そこで今回、私が感じたことや考察を含め、ここでまとめたいと思います。
そんな私が、今話題の伊藤あおい選手(世界ランキング112位)を知り、興味を持ったのは2年前。「変わった選手」がいるという噂をテニス関係者から聞いたからです。
そこで記憶に強く残ったワードが「ノーウォーミングアップ」と「ノートレーニング」でした。「え?そんな選手いるの?」と驚き、しかもそれでテニスが強いと聞いて、その日を境に伊藤あおいウォッチャーになりました(笑)。
そして、漫画家としての権力(?)を使い、マルチタスクで苦しむ担当編集者に、伊藤選手との対談企画を打診。それが通り、『月刊少年チャンピオン』での対談が実現しました。
対談は2時間半に及び、伊藤選手からたくさんのお話を聞くことができました。そこで今回、私が感じたことや考察を含め、ここでまとめたいと思います。
【伊藤あおい選手の特異なテニスについて】
■どう主導権を握るか――
多くの選手の場合、ボールのスピードや回転、テンポなどの「ショットの威力」で主導権を握ろうと考えますが、伊藤選手の場合は「相手の能力をいかに下げて主導権を握るか」を考えているように試合を観て感じました。もちろんその視点で他の選手も考えてはいますが、伊藤選手の場合はそれが根底にあると言いうか、その比重が振り切っているように見えました。
それは技術の根本的な考え方にも繋がります。
「出力を出す」ことが目的の技術と、「相手に読まれない」「相手の虚をつく」という目的の技術では、最適運動が異なります。伊藤選手のフォームや技術が特質なのは、後者の目的で結果的に作られたものだからではないかと。実際、伊藤選手が自分の技術をうまく言語化できないのもそこに繋がるのかと思います。
■論理的な配球術
伊藤あおい選手との対談の冒頭で、「フォア(ハンド)の順クロス、ほぼ打たないですよね?」と聞くと、「クロスに打って勝てるなら打ちますよ」と返答がありました。そこで、感覚的に配球をしているのではなく、物凄く論理的に配球を考えている選手だと、確信を持ちました。
■どう主導権を握るか――
多くの選手の場合、ボールのスピードや回転、テンポなどの「ショットの威力」で主導権を握ろうと考えますが、伊藤選手の場合は「相手の能力をいかに下げて主導権を握るか」を考えているように試合を観て感じました。もちろんその視点で他の選手も考えてはいますが、伊藤選手の場合はそれが根底にあると言いうか、その比重が振り切っているように見えました。
それは技術の根本的な考え方にも繋がります。
「出力を出す」ことが目的の技術と、「相手に読まれない」「相手の虚をつく」という目的の技術では、最適運動が異なります。伊藤選手のフォームや技術が特質なのは、後者の目的で結果的に作られたものだからではないかと。実際、伊藤選手が自分の技術をうまく言語化できないのもそこに繋がるのかと思います。
■論理的な配球術
伊藤あおい選手との対談の冒頭で、「フォア(ハンド)の順クロス、ほぼ打たないですよね?」と聞くと、「クロスに打って勝てるなら打ちますよ」と返答がありました。そこで、感覚的に配球をしているのではなく、物凄く論理的に配球を考えている選手だと、確信を持ちました。
ベーシックなテニスの基本は、クロスで主導権を握ってストレートに展開ですが、伊藤選手はクロスをほぼ打たず、ムーンボールのストレートが基本。さらにその基本のストレートとアングルを混ぜることで、相手にストレートを読まれないようにしています。この使い方が異常にうまいのです。
基本のクロスの打ち合いだと、ショットの威力勝負になりやすく、伊藤選手はストレートに展開することで戦況を複雑化する。威力勝負ではなく、武器であるテクニック、展開力、予測の勝負に持ち込んでいく。それが、伊藤選手のテニスの面白さだと個人的に思っています。
基本のクロスの打ち合いだと、ショットの威力勝負になりやすく、伊藤選手はストレートに展開することで戦況を複雑化する。威力勝負ではなく、武器であるテクニック、展開力、予測の勝負に持ち込んでいく。それが、伊藤選手のテニスの面白さだと個人的に思っています。
■強いメンタルの秘訣は余裕
「自分の強さはメンタル」と語った伊藤選手。具体的にメンタルとは何ですかと聞くと、「余裕です」とすぐに答えてくれました。最初、私には全く意味がわからず、具体的に余裕とは何か、と聞き返すと驚きの返答がありました。
要約すると「テニスに対しての熱」や「勝ちたい」という気持ちが、今この瞬間の勝負においては邪魔になる。「勝ちたい」と強く思えば、思うほど、身体は硬直し、思考や選択に制限がかかるというわけです。
伊藤選手には「テニスは人生の一部」という哲学が根本にあって、他の選手よりも「余裕」があると、そのようなニュアンスで伊藤選手が自己分析し、言語化したことに正直驚きました。
私自身はその話を聞きながら、天才勝負師と言われた「雀鬼(麻雀の鬼)」こと桜井章一さんの似た勝負哲学を感じました。奇しくも、伊藤選手が最近、麻雀を始め、それがとにかく強いとテニス界で噂になっていて、私の中でその繋がりを興味深く感じました。
「自分の強さはメンタル」と語った伊藤選手。具体的にメンタルとは何ですかと聞くと、「余裕です」とすぐに答えてくれました。最初、私には全く意味がわからず、具体的に余裕とは何か、と聞き返すと驚きの返答がありました。
要約すると「テニスに対しての熱」や「勝ちたい」という気持ちが、今この瞬間の勝負においては邪魔になる。「勝ちたい」と強く思えば、思うほど、身体は硬直し、思考や選択に制限がかかるというわけです。
伊藤選手には「テニスは人生の一部」という哲学が根本にあって、他の選手よりも「余裕」があると、そのようなニュアンスで伊藤選手が自己分析し、言語化したことに正直驚きました。
私自身はその話を聞きながら、天才勝負師と言われた「雀鬼(麻雀の鬼)」こと桜井章一さんの似た勝負哲学を感じました。奇しくも、伊藤選手が最近、麻雀を始め、それがとにかく強いとテニス界で噂になっていて、私の中でその繋がりを興味深く感じました。
■ノーウォーミングアップ
ある試合では試合直前までiPad(アイパッド)で絵を描いていたのは有名な話で、伊藤あおい選手はノーウォーミングアップがデフォルト(標準)なのです。ただ、アスリートとしてそれはどうなのか――。いったいどんな考え方なのかを聞きました。
その返答を要約すると、伊藤あおい選手の「テニスは人生の一部」という哲学にも通じるのですが「自然体」であることを第一に考えているようです。
私のダメな例で解説します。私は試合の時だけ、練習の時よりも入念にウォーミングアップをして、いつもやらない試合のプランを入念にしていました。「普段」とは違うルーティンをして、試合が「特別」なものになって、結果的に緊張する(笑)。身体や頭のウォーミングアップはできていても、メンタルという観点ではダメでした。
伊藤選手にとって「ウォーミングアップをしない」というのは、試合を平常時の日常にするための一つのやり方のなのかもしれないと、対談後に気づきました。人によっては、ある程度の緊張感があった方が良いパフォーマンスが出る選手もいたりするので、それが正しいということではなく、あくまでも一つのやり方、考え方なのだと思います。
ある試合では試合直前までiPad(アイパッド)で絵を描いていたのは有名な話で、伊藤あおい選手はノーウォーミングアップがデフォルト(標準)なのです。ただ、アスリートとしてそれはどうなのか――。いったいどんな考え方なのかを聞きました。
その返答を要約すると、伊藤あおい選手の「テニスは人生の一部」という哲学にも通じるのですが「自然体」であることを第一に考えているようです。
私のダメな例で解説します。私は試合の時だけ、練習の時よりも入念にウォーミングアップをして、いつもやらない試合のプランを入念にしていました。「普段」とは違うルーティンをして、試合が「特別」なものになって、結果的に緊張する(笑)。身体や頭のウォーミングアップはできていても、メンタルという観点ではダメでした。
伊藤選手にとって「ウォーミングアップをしない」というのは、試合を平常時の日常にするための一つのやり方のなのかもしれないと、対談後に気づきました。人によっては、ある程度の緊張感があった方が良いパフォーマンスが出る選手もいたりするので、それが正しいということではなく、あくまでも一つのやり方、考え方なのだと思います。
■ノートレーニングについて
伊藤選手との対談でハッとした瞬間がありました。それが「トレーニングって本当に勝ちにつながりますか?」というものでした。確かにトレーニングをして、逆に身体を壊す人がいたり、動きが固くなったり、マイナス面もあります。
「ショットの威力」ではなく、「相手の能力を下げて」主導権を握ることを考えている伊藤選手にとって、最大出力を目的とした意識的に作られたフォームや筋肉ではなく、結果的に作られたフォームや日々の試合や練習によってついた筋肉や動きの方がもっとも自然である、そう考えると私はすごく納得ができました。
■オセロで鍛えられた思考力
伊藤選手はとにかく多趣味で、絵を描いたり、漫画を読んだり、オセロ(ボードゲーム)をやるそうです。特にオセロは、定石を学び、対局後の分析までする徹底ぶり。オセロは先手が有利らしく、後手は不利。後手になった場合は、「いかに定石を外すか」「虚をつくか」という視点で戦わないと強い相手には勝てないそうです。まさにその思考こそ、伊藤選手のテニスの根本であり、強さの根源であると感じました。
伊藤選手との対談でハッとした瞬間がありました。それが「トレーニングって本当に勝ちにつながりますか?」というものでした。確かにトレーニングをして、逆に身体を壊す人がいたり、動きが固くなったり、マイナス面もあります。
「ショットの威力」ではなく、「相手の能力を下げて」主導権を握ることを考えている伊藤選手にとって、最大出力を目的とした意識的に作られたフォームや筋肉ではなく、結果的に作られたフォームや日々の試合や練習によってついた筋肉や動きの方がもっとも自然である、そう考えると私はすごく納得ができました。
■オセロで鍛えられた思考力
伊藤選手はとにかく多趣味で、絵を描いたり、漫画を読んだり、オセロ(ボードゲーム)をやるそうです。特にオセロは、定石を学び、対局後の分析までする徹底ぶり。オセロは先手が有利らしく、後手は不利。後手になった場合は、「いかに定石を外すか」「虚をつくか」という視点で戦わないと強い相手には勝てないそうです。まさにその思考こそ、伊藤選手のテニスの根本であり、強さの根源であると感じました。
■対談後の感想
対談後の帰り道、私はなぜか人生について考えさせられました(笑)。
「何かを得れば何かを失う」、「多くの人がやっていることが、本当に自分にとって必要なことなのか?」、「原稿作業に追われる毎日で、大切なことを見失っているのではないか?」
なぜそのようなことを考えるようになったのかと言うと、それはつまり自分の中で凝り固まっていた「常識」という固定概念が、伊藤選手の対話の中で、少し壊されたからだと、数日後にふと気づいたからでした。
これはきっと漫画にも良い影響があるに違いないと、ネーム(漫画の設計図)に取り掛かり担当編集に提出すると、3度の全ボツ――。
私は何かを得て、何かを失ったのかもしれません。
紹介動画
対談後の帰り道、私はなぜか人生について考えさせられました(笑)。
「何かを得れば何かを失う」、「多くの人がやっていることが、本当に自分にとって必要なことなのか?」、「原稿作業に追われる毎日で、大切なことを見失っているのではないか?」
なぜそのようなことを考えるようになったのかと言うと、それはつまり自分の中で凝り固まっていた「常識」という固定概念が、伊藤選手の対話の中で、少し壊されたからだと、数日後にふと気づいたからでした。
これはきっと漫画にも良い影響があるに違いないと、ネーム(漫画の設計図)に取り掛かり担当編集に提出すると、3度の全ボツ――。
私は何かを得て、何かを失ったのかもしれません。
紹介動画
取材・文●KASA
KASA(カサ):高校テニスを題材にした漫画『BREAK BACK』(秋田書店)の著者。名手ギレルモ・コリアに憧れアルゼンチンに武者修行に行き、コリア本人から直接指導を受けた経験を持つ。選手活動とコーチ業を経て、現在は漫画家としてテニスの魅力を伝えている。
KASA(カサ):高校テニスを題材にした漫画『BREAK BACK』(秋田書店)の著者。名手ギレルモ・コリアに憧れアルゼンチンに武者修行に行き、コリア本人から直接指導を受けた経験を持つ。選手活動とコーチ業を経て、現在は漫画家としてテニスの魅力を伝えている。
コメント
_ じゅんむし ― 2025年03月23日 17時17分
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定石通りでなく、その殻の打ち破り方が面白いですね。
確かに!と思うところたくさんあります。
これから注目していきます!